kitombo.com | カルタゴ皇帝ゴンの世界 | 2008年8月25日
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カルタゴ皇帝ゴンの世界
「怖い話 ポルターガイスト」

カルタゴ皇帝ゴン
8月25日

 お盆は過ぎたが、まだまだ残暑は厳しい! ……と言うことで、身の毛もよだつコワーイお話です。これは、今から25年以上前に私自身が経験したことです。時期はお盆!
 当時私は、まだ学生か働き始めたばかりだったと思う。お盆の前後は、母の田舎である叔父の家に行くのが恒例だった。母の田舎は、宮崎県椎葉村、想像できないほどの奥深い山の中に有った。その家と言うのは、つい先日、偶然にも「日本の秘境に暮らす家族」とか言うテレビ番組で、放送された家です。当時は、夏ともなると親戚一同の避暑地と化していた。
 さて、お盆ともあって、その家には親戚一同集まっています。夕方から飲めや歌へのドンチャン騒ぎ。日のどっぷり暮れたころ。「肝試しをしよう」と言う事になりました。その家の裏山は先祖代々からの墓地になっていました。こう言う事が大好きな、私は、自分がまず一番だと、懐中電灯を持って墓地へ登っていきました。墓地の頂上に付いた時点で懐中電灯で合図をする事になっていた。
 その日は、曇りで星も出ていません。しかも、その家の周りには、見える範囲に家は一軒もない。500メートルぐらい離れたところにお隣が一軒あるが、谷を越えた丘の向こうなので明かりは見えない。更に周りは奥深い照葉樹林が生い茂っている。つまり、墓地の中は真の暗闇なのだ。
 墓地への斜面は、かなり急だった。私は、墓地の入り口まで来たところで、足を取られ滑ってしまい懐中電灯を落としてしまった。その衝撃で、電球が切れたらしく、懐中電灯はつかなくなった。「まずい」そう思ったが、後の祭りです。
 私は、しばらくその場に立ち尽くしたが、本当の暗闇である。いくら経っても目はなれない。仕方なく這うように進む途中、墓石に突き当たり倒してしまった。そこは墓地と言っても、山奥である。その家とその上にあると言う家(何処にあるかは知らない)二軒の先祖代々のお墓らしい。墓石と言っても昔の物は40ー50センチほどの自然石が、やはり自然石のストーンサークルの真ん中に付き立ててあるだけなのだ。
 私は大慌てで、墓石を建て直し、丁重にお詫びをして墓地の頂上まで登った。酔っていたので、良く覚えていないが、真っ暗闇の中、いくつもの墓石を「蹴飛ばしたり突き飛ばしたり」しながら進んだ記憶がある。写真を見てもらえると分かるだろうが、踏みつけたお墓もあるかもしれない! 墓地の頂上は、木が切ってあり見晴らしが利く。私は叔父の家の外にいる従兄弟に向かって、「ライトが切れたので降りれない」と叫んだ。しばらくすると、従兄弟が登ってくる懐中電灯の明かりが見えた。


 その頃には、だいぶ目が慣れてきたのか、不思議な物が見えることに気付いた。地面のあちこちに光のワッカがあるのだ。色は、夜光塗料の色で幾分緑を帯びた青い光である。何なのか? 光の正体に手を伸ばすと、それは墓地に置かれた湯飲みや茶碗だった。不思議な事だが、茶碗の縁がボーっと光っていたのだ。更に驚いたのは、自分のスニーカーだ。周りの茶碗以上に、強い光を放っていた。
 ちょうど、その時、従兄弟が登ってきた。彼はまだ目がなれていないせいか、光の環は見えないと言う。しかし、従兄弟によると、下から見ていると私の体全体が、ボーっと人形に発光していて、何処にいるか一目瞭然だったと言う。懐中電灯を消してしばらく待つと、従兄弟にも光のワッカが見えてきた。
 電灯を消すと完全な暗闇なので、相手は全く見えないが、なんと、お互い淡い光に包まれていて、何処にいるかはっきり分かる。世の中の様々な物は、その温度に見合った周波数の電磁波放射をしている。恐らく、それと同時に微弱な可視光も放っているのだろう。或いは、人の目は、可視光以外の領域にも若干の感度を持っているのかもしれない。どちらが正しいか判らないが、普段完全な闇と接する事は無いので、これらの事実に気付かないだけなのだろう。
 本当の暗闇であるがゆえに、色々な物が発する僅かな光が見えたのだと思う。当時は、まだ若く目の光に対する感度も遥かに高かった事も、不思議な光が見えた要因かもしれない。 
 さて、ここまでは前置きで、これからが本番である。その後、我々は何事もなかったように、家に戻った。私は、更にビールをかっ食らって、早々と床に就いた。酔っていたので、直ぐに眠れたが、その晩一晩中、乾いた咳が止まらなかったのを記憶している。
 そして、翌日、目が覚めると従兄弟が言った。「あんな、状態でよく眠れたね!」
 聞くと、昨夜ポルターガイスト現象がおきたと言うのだ。仏壇の花瓶が揺れ始めライトが消え、部屋中が怪音に包まれたらしい。私は、昨夜のお墓の事を思い出し〈ヤベー!〉と思った。お仕置きをしようと思った相手が、酔っ払って寝ていたので霊が暴れまわったのだろうか?
 その日の夜、早速、私は三脚にカメラをセットすると、仏壇の前で寝る事にした。しかし、夜が更けても何も起こらない。結局、そのまま寝込んでしまった。
 しばらくして、私は従兄弟に起こされた。「始まった」と恐怖の顔をしている。仏壇に目をやると、花瓶が小刻みに揺れている。更に、仏壇の電気がチラチラと点いたり消えたりし始めた。その状態が続いた後、仏壇の電気は完全に消えた。そして、花瓶が激しく揺れはじめた。
 ……とその瞬間、その部屋の屋根裏でシンバルを叩いた様な大きな金属音が鳴り響いた。続いて「ゴトゴト」「バシバシ」「バンバン」すさまじい怪奇音が部屋中から鳴り響き始めた。更に、家の外からも怪奇音が聞こえてきた。
 「ズズッ、ズズッ」っと、草履をはいた人間が、わざと音を立てて歩いているような音だ。……と突然「ズズッ、ズズッ」の歩く音から、「バタバタバタ」と走る音に変わり家の周りを走り始めた。「ズズッ、ズズッ」「バタバタバタ」の繰り返しが延々と始まった。
 私は、家の玄関の前まで行って、扉に手をかけた。そして、怪音が玄関の前を通過した瞬間、勢いよくドアを開いた。シーン! 奇怪な足音はぴたりと止まった。私が、扉を閉めると、再び「ズズッ、ズズッ」「バタバタバタ」が始まる。何度やっても同じことの繰り返しだ。私はくまなく家の周囲を見て周ったが、勿論、人の気配はない。


 私が仏壇のところに戻ると、そこでは従兄弟が恐怖に震えながら待っていた。障子がひとりでに開いたと言う。私も、薄明かりの中で目を凝らすと、しばらくして確かに障子が少し動いたのだ。その最中にも、怪奇音は部屋の中と外で鳴り響いている。ポルターガイストは知っていたが、まさか自分がこれほどのポルターガイストに遭遇しようとは思っても見なかった。
 恐らく、30分はゆうに経った頃だろうか、だんだんと怪奇音が少なくなり、消え始めた。それと同時に、完全に消えていた仏壇の電気が再び点いたり消えたりし始めた。花瓶の揺れも収まった。やがて、仏壇の電気がポッっと点くと、それと同時にすべての怪奇現象が収まった。
 その翌日も、私はその家に宿泊したが、何事も起こらなかった。以来、その家に行く度に、このポルターガイストを思い出すが、その時を最後に一度も起こっていない。ただ、この家では、お盆の期間中にたびたび怪奇現象は起こっている。私以外の者もたびたび怪奇現象に遭遇しているのだ。
 その家がある椎葉村では、お盆は盛大に行われる。8月12日の夜は、仏壇に大量のお供え物をして、全員が起きて深夜零時を待つ。祖先の霊のお迎えなのだ。霊が入ってくる入り口は、仏壇と向かい合った縁側で、零時を過ぎるまで縁側の窓を開けて待つ。窓の外には、霊が足を洗うため、ご丁寧に洗面器に水を汲んで置いてある。どうやら椎葉村の霊は、足があるようなのだ。したがって、足音を立ててもおかしくない??
 勿論、霊が帰る8月15日の夜も深夜零時まで、全員で起きて待つ。仏壇には、大量のおみやげ物と「芋の茎」が供えてある。「芋の茎」は、お土産を持ち換えるときにロープ代わりに使うそうだ。こんな様子を見ていると、この家では本当にお盆に霊が帰ってくるのではないかと思ってしまう。
 しかし、ポルターガイストに関しては、私が倒した墓石の持ち主だろうか? いや、あの騒ぎようは一人ではなかった。きっと、私が「どついた」墓石の持ち主全員かもしれない。 ……私が、口をつぐんだまま、墓石の件は誰にも話さなかった事は想像できるだろう。夜中に墓地に行って墓石を突き飛ばした事がばれると、叔父につるし上げられる事は間違いなかった! そろそろ、ほとぼりが冷めた頃だろうと思い、この恐怖の経験をここに公開したのだ。しかし、本当の恐怖は、もっと意外なところに隠されていた。
 私が、真夜中1人で上っていった墓地は、夜ともなるとマムシの巣窟と化す場所だったのだ。叔父は、霊が怖いのではなく、マムシが怖いので絶対に夜に墓にはいかないと言う。……ヒェー、恐ろしや、恐ろしや!

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